2008年07月28日
ものがたり「クモとクワガタ」
最後まで読めたらエライ!です
糸を伸ばして、クモが巣を貼りました。
ふつう、風にのっていろんなポイントにはりめぐらす作業なのですが、どういうわけか、その日、その場所にはまったく風が吹きませんでした。
風がないため、大変苦労して立派な巣が完成しました。
そんな場所でしたが、思いのほか獲物がたくさんかかります。蚊やハエ、アブ、大きなハチもかかりますが、クモにはまったく怖くありませんでした。何しろ、かかったが最後、相手は動けなくなってしまうのです。
クモは大きくまるまると太り、巣はさらに幾重にも張り巡らされて、大きく丈夫になりました。
夏。近くのどこかの土の中から、クワガタが羽化しました。
気ままに飛び回る数日を過ごし、気がつくと土の上ではないところにいるのがわかりました。
コクワガタのオスです。
地上に出てきて、自分の仲間にも合いましたし、大きな敵がいることも知りました。食べ物には困りませんでしたが、やっかいな相手には逆らわないほうがいいということを、すでに学びました。
そんなクワガタにも、カノジョができました。
ちいさなコクワガタの中でも小さめな、かわいい女の子です。
デートを重ねるようになった、ある日のことです。
いつもの場所に、彼女は来ませんでした。
特にやることがあるわけでもないので、クワガタは待ちました。
一日待って、彼女は来ませんでした。何かあったんだろうなとは思いましたが、なぜかそんなに心配ではありませんでした。
次の日、同じ場所にいくと、彼女はやってきました。
聞くと、クモの巣に引っかかって、動けなかったそうです。
驚いて、どんな状況だったか聞きました。心配ないなんて事はなかったのです。
「たいしたことはないのよ」といいながら、事の顛末をはなしました。
脚が一本、引っかかったのが、どうしても取れなくて、一日もがいていたそうです。
すぐに大きなクモが来て怖かったといいましたが、彼女はつかまらずに、クモはすぐにひっかえしてしまったそうです。
右側の真ん中の脚が、2番目の関節からとれてしまったそうです。見ると、確かに脚が真ん中からなくなっているところがあります。クワガタは怒りました。
どうにかできるかはわかりませんが、とにかくいちど、クモの巣を見に行くことにしました。
土の上ではない、地面がおかしな具合に平らなところにいます。
毛でできているような、やわらかいところです。
歩くうち、ほどなく彼女の言うところに着きました。
見上げると、上のほうがかすんでよく見えないほど、クモの巣が幾重にも張り巡らされています。
はじっこのほうを、少し足先で弾いてみました。やわらかくねばねばしていて、油断するとくっついてしまいそうです。
彼女の声で、巣の上のほうを見上げると、音もなくクモが近づいてきていました。
すごい反応の早さです。クモは、クワガタの姿を認めると、「ちっ」といって、背中を向けて、また音もなくすごい速さで行ってしまいました。
「クワガタは甲羅がかたくて食べづらいんだって、誰かがいってたわ」
クモはあの粘つく糸もお構いなしに、自分の巣の上をすべるように移動します。
巣も揺らさず、音も立てずに歩くクモの姿にぞっとしました。アイツにケンカを売ってもかないっこない。
* *
時間をかけて、仲間を集めました。クモはこの辺りではもっとも評判の悪いいきものでした。
巣には糸でぐるぐる巻きにされたほかの虫たちがたくさんかかっています。順番に食べていくんだそうです。
みんなであのクモをやっつける方法がないか、話し合いました。
みんなの口から出る言葉は、結局、あのクワガタと同じでした。アイツにケンカを売ってもかないっこない。
確かにそうでした。
クワガタはそれから毎日、クモに悟られないようにクモの巣にでかけて、何か弱みを握れないかうろつくようになりました。
クモはそのクワガタのことは気づいていましたが、どうせ食ってもうまくないし、ある程度から近づいてこないこともわかったので、クワガタのことはそれきり考えなくなりました。
クワガタは周りを丹念に歩くうち、クモの巣が、支えの糸がすごく少ないことに気づきます。
よく見ると、たった8本の糸が、あの向こうがかすむほどの大きな巣を支えているのです。なんと丈夫な糸なんでしょう。
もう一度、仲間を集めました。クワガタの仲間と呼べるクワガタは、ぜんぶで10匹いました。
クワガタは、そっとクモをやっつけるヒミツの策をみんなに話します。
静かに行動すること。
いちどしかチャンスがないこと。
俺たちしかできないこと。
クワガタは、時間をかけて、仲間を説得しました。
計画を実行することになりました。あの丈夫な糸を切りに行きます。
遠くから勢いをつけて、クワガタの大アゴで引っ掛けて、引きちぎるのです。
合図と同時に、いっせいにぜんぶの糸を切らなければなりません。
みんなの見える位置から、合図役のクワガタが、バッと飛び立ちます。
切る役目のクワガタは8匹、自分の目指す糸をめがけて急降下します。予想以上に粘る糸でしたが、一気にひっぱって、強引に引きちぎりました。
誰かが失敗に終わったときのために、上から最後の1匹が監視します。
クワガタは全員、力いっぱい攻撃したので、ぜんぶの糸が切れました。
クモはあの反応の早さですから、さっとどこかに身を移そうとしたのですが、上から下からまわりから、一気に自分のいとがからまってきて、身動きが取れないまま、巣と一緒に落下しました。
大きな繭のような、がんじがらめになった状態で、クモは息絶えました。
クワガタは勝ったのです。
あのクワガタは、すぐにさきの彼女と結婚し、幸せに暮らしました。そして夏の終わりには、静かに、二人一緒に死にました。
2008年05月19日
ものがたり「たんぽぽの親子」
ざあっと風が吹いて、タンポポの綿毛が舞い上がりました。
綿毛は土の上に落ちて、無事、根を生やすことが出来ました。
じっくり時間が過ぎて、春。
あの綿毛だった種は、見事に花を咲かせました。
春が過ぎるとともに、黄色い花びらはあらたな綿毛になり、タンポポの頭の上をびっしり飾りました。
ある晴れた日、かわいた風が強く吹いたのを合図にしたように、タンポポの子供たちがいっせいにとびたっていきました。
子供たちは、あいさつもなしに新しい世界をもとめて旅立つのです。
タンポポはひとつため息をついて、肩の力が抜けていくのを感じていました。
あとは茎を折って、また来年の花を咲かせるために地面からたくさん栄養をとってやりなおしだわ・・・とゆっくりしたキモチで考えていました。
そのとき、「おかあさん!」
と声がしましたが、最初、タンポポは気づきませんでした。
そんなふうに呼ばれたことがなかったのです。
もういちど、おかあさん!とよばれたときに、自分の頭の上から声がすることがわかりました。
旅立たなかった子供がひとつ、残っていたのです。
「わたしね、おかあさんといっしょにいたいから風にのらなかったの」
タンポポは、ため息をつきました。きっとこの子はしあわせになれないだろう、と。
頭にあった綿毛の子は、タンポポのすぐそばに着地して、無事に根を張ることが出来ました。
1年め。タンポポの隣に、お母さんよりも背は低いものの、見事に花を咲かせました。
「おかあさんのとなりにいられてよかった!」とこどもは言いました
そんなこどもがかわいいな、とはおもいましたが、タンポポはまたため息をつきました。きっとしあわせにはなれない。
2年め。またまたそろって花を咲かせました。
春がすぎて、綿毛をとばし、茎を折ったころ、長靴をはいたおじさんがどかどか入ってきました。
腰にはなにやら袋のようなものをぶら下げて、ガチャガチャ言わせながら、道具をつかって地面をひっかいています。
地面でねむりについていたタンポポの親子にも、気配が伝わりました。
おじさんは、だんだん近づきながら地面をいっしょうけんめい地面をひっかいています。
いちどどこかへいったと思ったら、今度は手におおきなスコップを持っています。
汗をかきながら、おじさんはスコップを地面に刺すたびに、近くの地面から悲鳴が聞こえてきます。
「うぎゃあーっつ」
「やめてくれぇー!」
とうとうおじさんは、タンポポのそばのツツジの花のそばにやってきました。
ぐいっ、とスコップを突き刺すと、タンポポの体がぐらっとゆれました。
「おかーさーん!」こどもの声がしました。
ああ、やっぱりこの子はしあわせになれなかったわ。
茎や葉を引きちぎられることがあっても根が残っているから私たちは大丈夫、と思ったこともあるけど、地面ごと掘り返されちゃあ仕方ないわね、とタンポポはあきらめました。
しょせん私たちは雑草なのよ・・・
あー、疲れた。
今日は草取りをしまして、たまたまタンポポの葉っぱののこりが2つあって、スコップで掘り返したら1本はすごい太くて、長さも60センチくらいありましたかね。
もういっこはまだぜんぜん細くて、ああ親子なんだなと。
そのご1時間くらい地面をほっくりかえしていたら、なんだかたんぽぽの親子が気になって、テニスのブログなのに書いちゃいました。雑草の悲哀をこめた物語に仕立て上げました・・・?
「カテゴリ」も「物語」になってます。
なれないことするから、こんなの書くのに40分もかかっちゃったよー。
綿毛は土の上に落ちて、無事、根を生やすことが出来ました。
じっくり時間が過ぎて、春。
あの綿毛だった種は、見事に花を咲かせました。
春が過ぎるとともに、黄色い花びらはあらたな綿毛になり、タンポポの頭の上をびっしり飾りました。
ある晴れた日、かわいた風が強く吹いたのを合図にしたように、タンポポの子供たちがいっせいにとびたっていきました。
子供たちは、あいさつもなしに新しい世界をもとめて旅立つのです。
タンポポはひとつため息をついて、肩の力が抜けていくのを感じていました。
あとは茎を折って、また来年の花を咲かせるために地面からたくさん栄養をとってやりなおしだわ・・・とゆっくりしたキモチで考えていました。
そのとき、「おかあさん!」
と声がしましたが、最初、タンポポは気づきませんでした。
そんなふうに呼ばれたことがなかったのです。
もういちど、おかあさん!とよばれたときに、自分の頭の上から声がすることがわかりました。
旅立たなかった子供がひとつ、残っていたのです。
「わたしね、おかあさんといっしょにいたいから風にのらなかったの」
タンポポは、ため息をつきました。きっとこの子はしあわせになれないだろう、と。
頭にあった綿毛の子は、タンポポのすぐそばに着地して、無事に根を張ることが出来ました。
1年め。タンポポの隣に、お母さんよりも背は低いものの、見事に花を咲かせました。
「おかあさんのとなりにいられてよかった!」とこどもは言いました
そんなこどもがかわいいな、とはおもいましたが、タンポポはまたため息をつきました。きっとしあわせにはなれない。
2年め。またまたそろって花を咲かせました。
春がすぎて、綿毛をとばし、茎を折ったころ、長靴をはいたおじさんがどかどか入ってきました。
腰にはなにやら袋のようなものをぶら下げて、ガチャガチャ言わせながら、道具をつかって地面をひっかいています。
地面でねむりについていたタンポポの親子にも、気配が伝わりました。
おじさんは、だんだん近づきながら地面をいっしょうけんめい地面をひっかいています。
いちどどこかへいったと思ったら、今度は手におおきなスコップを持っています。
汗をかきながら、おじさんはスコップを地面に刺すたびに、近くの地面から悲鳴が聞こえてきます。
「うぎゃあーっつ」
「やめてくれぇー!」
とうとうおじさんは、タンポポのそばのツツジの花のそばにやってきました。
ぐいっ、とスコップを突き刺すと、タンポポの体がぐらっとゆれました。
「おかーさーん!」こどもの声がしました。
ああ、やっぱりこの子はしあわせになれなかったわ。
茎や葉を引きちぎられることがあっても根が残っているから私たちは大丈夫、と思ったこともあるけど、地面ごと掘り返されちゃあ仕方ないわね、とタンポポはあきらめました。
しょせん私たちは雑草なのよ・・・
あー、疲れた。
今日は草取りをしまして、たまたまタンポポの葉っぱののこりが2つあって、スコップで掘り返したら1本はすごい太くて、長さも60センチくらいありましたかね。
もういっこはまだぜんぜん細くて、ああ親子なんだなと。
そのご1時間くらい地面をほっくりかえしていたら、なんだかたんぽぽの親子が気になって、テニスのブログなのに書いちゃいました。雑草の悲哀をこめた物語に仕立て上げました・・・?
「カテゴリ」も「物語」になってます。
なれないことするから、こんなの書くのに40分もかかっちゃったよー。






